iPhone 12で撮影したHDR動画をSDR動画に変換できるのか?
iPhone 12から可能になったHDR動画撮影
iPhone 12シリーズから手軽にHDR動画が撮れるようになった。これにより、従来の動画撮影よりも明るい部分と暗い部分の差が大きい映像を撮ることができるようなった。実際に撮影したものを再生してみると、太陽の眩しさを感じたり、白飛びがなく明暗のはっきりした映像を体感することができた。
iPhoneのディスプレイは、HDR動画を綺麗に再生するために最高輝度が1200ニトもある。しかも、HDR動画の編集に対応したアプリ(Clips、iMovie等)を使えば、iPhoneひとつで超高画質な映像を撮影から編集までできてしまうのだ。
iPhoneでは完璧でも
さて、iPhoneひとつで完結するといっても、やはりPCやMacで編集できた方が画面も広いし、操作もしやすいことだろう。
ということで、iPhoneで撮影したHDR動画を写真アプリを通じてiCloudにアップロードし、これをMacの写真アプリでオリジナルのまま書き出してみる。
再生ボタンを押したとき、なにか違和感に気づくはずだ。
俺が撮ったのはこんな映像じゃない!
すぐに動画の白っぽさ、見栄えのなさに気づき、がっかりすることだろう。
実は、HDR動画を見るためには、HDR動画の再生に適したディスプレイやハードウェアが必要なのだ。MacBook Air M1チップモデルですら、ディスプレイの最高輝度は400ニト。iPhoneのそれには到底及ばない。
HDR動画をどう扱うか
今のところ、iPhoneで撮ったHDR動画はiPhoneで見るのが至高である。
もちろん、PCやMacでHDR動画が扱えないという訳ではない。Final Cut ProやAdobe PremiereではHDR動画の編集をサポートしている。また、これらの編集ソフトを使って、HDRからSDRに変換することも可能である。また、iPhoneには動画を転送する際に、SDRに変換しながら転送する機能を備えている。
HDR動画撮影機能をオフに
HDR動画撮影機能では、iPhoneを購入した時点ではオンになっている。無意義に動画を撮影すれば、それはHDR動画になる訳だ。
ところが、これでは都合が悪い場合がある。
例えば、LINEで動画をシェアした時だ。
LINEではHDR動画をサポートしていないため、HDR動画をLINEにアップすると、明るさをあげすぎて白飛びしたような動画になってしまう。
これを避けるためにはHDR動画撮影機能をオフにするしかない。そして、一度撮影したHDR動画をSDR動画に変換する術はない。
これは他のSNS(Twitter、Instagram等)にも共通している。また、TwitterやInstagramではアプリ内でカメラを起動して撮影することが多いと思うが、こちらはHDR動画撮影機能のオンオフに左右されず、常にSDR動画で撮影される。
おわりに
まだまだ扱いづらいフォーマットではあるが、これからはこれがスタンダードになっていくのであろうか。一度体験したら戻れない美しさなのは間違いない。